
ダリ劇場美術館
バルセロナから電車で1時間半ほどのフィゲラスにある美術館。アクセスが良いとは言い難いものの、美術館そのものが作品なので現地に行くしかないでしょう。この美術館でわくわくしない人なんているはずがない…!美術館好きなら絶対行くべし。外観からしてもう、わくわくが止まらない。たまご、そしてパン、これはダリの愛するモチーフのひとつです。ちなみに、「どれがパン?」と思いませんでしたか?

なんだと…これがパンだって…?
この外壁にびっしりついているのがパンなんです!日本人からすると「これがパン?」と思うでしょう。ええ、私もそう思いました。ですが、あら不思議!この美術館を満喫して帰る頃には、「こんな愛おしくて可愛いパンが他にある?!」となってしまうのです。私なんて、このパンのマグネットをお土産で買ってしまいましたよ。友人に配ったら、全員に怪訝な顔されたけどね…。

雨降りタクシー、メイ・ウェストの部屋だけじゃない!見所はすべて。
そもそもこの美術館は、スペインを代表する画家サルバドール・ダリが外観から内装まですべてデザインした美術館。フィゲラスはダリの故郷で、もともと市民劇場だったこの建物はダリの絵が最初に展示された場所でもあります。しかし内戦により劇場は倒壊。そこで当時の市長とダリが、ここを美術館として再建することにしたのです。ちなみにダリは、現在この美術館の地下に埋葬されています。そう、原点に帰ったんです…!くー!うつくしい…!鑑賞ついでにお墓参りもできちゃう、一石二鳥。
約1500点もの作品が展示されているダリ劇場美術館。細部までダリ自身がこだわって作っただけあって、すべてが脳を刺激する上、あちこちに仕掛けがあります。すみずみまで注意して鑑賞するべし!ぼーっと見学していると、いろんなものを見逃してしまいます。気合を入れていきましょう。この美術館はダリの意思により作品名が書かれたプレートがなく、解説もありません。つまり自分の感性で自由に楽しめるのです。

天才を演じていれば、天才になる。
もとは劇場だったから『ダリ劇場美術館』なのだろうと誰もが推察するものの。それだけではなく、ダリの人生そのものがお芝居みたいに創られていたようにも思えて、これまた絶妙なネーミングだなと。
ー If You Act the Genius, You Will Be One.
ダリの名言「天才を演じていれば、天才になる」。でも、ダリの作品の繊細さを見ていると、どう考えても天才肌なんですよね、もともと。演じる必要もないのに天才を演じるとは、自信の無さのあらわれか。はたまた、彼が心に描く天才像が私たちの知るダリだったのか。1人の芸術家のみに焦点をあてる個人美術館に訪れると、どうしてもその人間性にも思いを巡らせてしまいます。作品にはその人格が出てしまうので。
肉眼でしか見れない絵画の謎
なんでもWebで見られるようになった昨今ですが、やっぱり現地に行かないと見れないものがこの世にはあるのですよ。ダリ劇場美術館でいうとこれなんですけど。左下のモザイクっぽい作品、何に見えますか?おそらくぼんやり男性が見えるはず。彼はリンカーンです。でも中央に女性の後ろ姿もぼんやり見えるかと。これは本当に不思議なのですが、現地で肉眼で見ると、女性(ダリの妻でミューズのガラ)の後ろ姿にしか見えないんです!リンカーンどこにもいない!ところが、このようにレンズを通すとリンカーンに見える。写真で撮った状態と、肉眼で見る絵がまったく違うんです!えーなんで??不思議すぎて何回も確認してしまいました。ガラの後ろ姿が見たいあなた、現地に行くしかありませんよ…!
それともうひとつ、右下のメイ・ウェストの部屋。これも、所定の位置からレンズを通して見ると、メイ・ウェストになるんです。さっきから「メイ・ウェスト」連呼さしてもらってますが、この美術館に来るまで存在も知りませんでした…。ググったらアメリカの女優さんとのこと。女優の鼻の穴を暖炉?みたいにしちゃってるあたり、流石です。この作品の展示室には、天井にも作品があるので忘れずに見てくださいね!

やっぱり行くしかないよね!
スペインへの直行便がないので、私のおすすめはパリ経由でバルセロナ入りする方法。東京からパリは便が多く、忙しい社会人に嬉しい羽田発の深夜便もあります。シャルル・ド・ゴール空港からバルセロナのエル・プラット空港までは1時間45分程度です。私はイベリア航空を使いました。
バルセロナからフィゲラスまでは電車で1時間半ほど。そして駅からさらに15~20分ほど歩きます。この駅で下車する人の多くはダリ劇場美術館に向かうので、彼らについて行くもよし、GoogleMap使うもよしですが、フィゲラス最大の観光スポットでもあるため、あちこちに道案内も出ています。私はこの道案内をたよりに辿り着きました。美術館内は写真撮影OK(フラッシュ・三脚はNG)です。コインで動く作品もあるので、小銭を持っていくのがおすすめ。ミュージアムショップも楽しいですよ!ぜひパンのマグネット探してください。

私は公式サイトしか信じない。開館時間とか休館日とかね、金額とかね、やっぱり公式サイトでないとね。言語でEnglishも選べますのでご安心ください!余談ですが、タッシェンから出版されている『ダリ全画集』には、この美術館がどうやって創られていったのかなど詳しく載っています。理解を深めたい方はそちらも読んでみてください。私は発売当初に定価(5900円)で買ったのですが、現在はAmazonでとんでもない値段で販売されているようです…。図書館にあったらラッキー!
