伯爵の邸宅に招かれて、美術品を鑑賞するー。そんな映画のようなシチュエーションを体験できるのが、ロンドンのハムステッド・ヒース公園にあるケンウッド・ハウスです。中心部から少し遠いこともあって混雑することもなく、のんびり美術鑑賞ができる穴場スポット。だがしかし、この邸宅をあなどるなかれ。数は少ないものの、17世紀のフランドル絵画好きならちょっとキュンとなるコレクションがあるのです!もちろんイギリスですから、こちらも無料で鑑賞できます。
ロンドン中心部からの行き方ですが、私は地下鉄でGolders Green駅まで行って、そこからバスに乗りました。バス停 Kenwood Houseで下車すると、すぐそこが公園の入口です。「Kenwood」の看板(写真左下)があるので、ここから入りましょう。5分ほど公園内の緑豊かな小道をテクテク歩いていくと、ひらけた場所に出ます。そこにある大きな邸宅がケンウッド・ハウスです。小さくですが看板も出ていますよ。
重たい扉を開けて中に入ると、おそらくボランティアであろう方々が出迎えてくれます。私が訪れたときは、ガイドが必要かどうか、初めてかなどを聞かれました。入って右手にはショップがあり(トイレは右手の地下)、ガイドブックやお土産などが購入できます。ちなみにこちらのガイドブック(写真右上のA4サイズのもの)、£5.5ほどなので、この邸宅を維持していくための寄付と思ってぜひ購入してください!デザインも写真も素敵で、ケンウッド・ハウスについていろいろ学べます。絵画鑑賞が目的であれば、作品の解説も載っていておすすめです。邸宅内の地図もわかりやすいし。一応、無料のパンフレット(写真右上の正方形のもの)も置いてありました。
レンブラントにフェルメール、ハルスまで!
さて、いよいよ見学ですが、まず左に進んでください。奥にダイニング・ルームがあって、フランドル絵画好きには早速ここがハイライト!冒頭の写真の部屋がそのダイニング・ルームです。レンブラント、フェルメール、ハルスなどの絵画が飾られています。美術館のように絵画の作品名は掲示されていません。その代わりに、中央のテーブルの上に解説カードが置かれていて、自由に手にとって読むことができるようになっています。ここにあるフェルメールの『ギターを弾く女』は、晩年の作品ということもあって評価はそこまで高くないそうですが、描かれている女性はふわりとした笑顔を浮かべていて、ダイニング・ルームにしっくりくる作品ではないかなと思います。何より、私がここを訪れた2023年はアムステルダムで「史上最大規模」とされるフェルメール展が開催されていて、世界中からフェルメールが消えていたのですよ!もともとフェルメールの作品は少ないのに、そのほとんどがアムステルダムに集結していて、ナショナル・ギャラリーからも消えていました。なのに、ここにはあったんです!貸し出さないでくれてありがとう、ケンウッド・ハウス …!
ちなみに、ボランティアさんは各部屋にいます。皆さん、とても親切でした!一人旅が好きなくせにおしゃべりも好きな私はちょっと嬉しい。窓の下に置かれている椅子に松ぼっくり?のようなものが飾られていて、かわいいので写真を撮っていたら、「この椅子に座らないように置いてあるのよ。注意書きばかりだと美しくないでしょ?」と教えてくれました。なるほど。美学。
鑑賞できるのは絵画だけにあらず。邸宅そのものが文化遺産。
フランドル絵画だけでなく、アンソニー・ヴァン・ダイクや、イギリス絵画のコレクションも豊富です。家具など調度品も素敵で、時間になると音楽が鳴る置き時計もあったり(いつ鳴るかボランティアさんが教えてくれた)、それらを鑑賞するのも楽しい!ダイニング・ルームのほか、エントランスホール、図書室、朝食の部屋、女性が着替えるためのドレッシング・ルームにメイドの部屋など、2階を含めてたくさんの部屋があります。当時の生活を想像して、つい導線など確認してみたり。何の部屋かはガイドブックを見るもよし、ボランティアさんに聞くもよしです。庭(公園)も素敵なので、見学後はぜひお散歩して欲しい!カフェもあります。
ケンウッド・ハウス 公式サイト
ケンウッド・ハウスの公式サイトは、English Heritage というイギリスの遺跡・文化遺産をまとめたサイト内にあります。言語選択では、なんと日本語も!めずらし。無料ではあるものの、公式サイトではオンラインでの事前予約を推奨しています。私は予約して行ったのですが、入口でチケット(予約するとメールで電子チケットが送付されてくる)の提示を求められることもなく、ふらっと入れました。どうやら予約なしでも問題なさそうです。ホリデーシーズンなどの繁忙期は、念のため予約したほうが安心かな?ケンウッド・ハウスの見学は2時間程度を見ておけば大丈夫です。「時間がないけど、フランドル絵画だけ見たいー!」という方は30分でもいけるかもけど、それはもったいない!何より、こんな優雅な場所で、せかせかしたくない…。公園もお散歩するなら3時間は必要です。素敵な場所なので、ついつい時間が過ぎてしてしまうかもしれません。